これまで下積み時代から使い続けておりました手漉き和紙ですが、
廃盤のため、10年の節目とともにお別れとなりました。
現状、ある残りの和紙を使い終えましたら、終わります。
ひとつの終わりは、新しい始まりと考え、
今年の頭から、新しい和紙を探しておりました。
そこで、ようやく私たちは出会いました。
黙々と和紙をつくる3代目。
この後ろ姿だけでも、そこに宿る愛に満ちたものを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
楮の幹の皮だけを、このように集め、
工程の中で、このように皆様のイメージする和紙に行き届くまで、時間のかかる作業。
集めた和紙の原料を、こうして集め、その中の一部を、さきほどのように職人が和紙にしていきます。
ひとつひとつが手作業。
ただ紙がそこにあり、出来上がるのではなく、1枚1枚に、職人の丁寧な技があります。
じつは、3代目、目が見えていません。
しかし長年培ってきた身体に和紙の制作方法が染み付いていて、今でも和紙の制作を営むそうです。
「見えていなくても、身体が覚えている」
黙々と、淡々と、手漉き和紙をつくる様は昨今の時代へ、何か問いかけるものがないでしょうか。
私はその背中に、多くを学びました。
サイズ毎に創られた道具。
この道具も、機械ではなく、職人から職人に渡った技そのもの。
出来上がった手漉き和紙は、一枚一枚重ねられ、乾くまでの間、こうして保管されます。
キレイな空気、水、木々の中で育まれた手漉き和紙の1枚。
この1枚が、言葉ギフトの手漉き和紙になります。
さらに、作品たちがより輝くように、和紙の厚みも特注になり、制作いただくことになりました。
つまり言いますと、言葉ギフトだけの手漉き和紙。
こうして世界にひとつへのこだわりが、手漉き和紙にまで届きました。
手漉き和紙の技法は、平安時代に確立され、1000年変わらない手法となります。
世界の文化遺産となるのも、納得がいきます。
今回は、その和紙の歴史から、制作の流れ、すべてを改めて学び、職人の愛をしりました。
この愛が、皆様のもとにも届きますと幸いです。
一枚一枚、真心をこめて制作いたします。